昨年の年末から、韓国ではコロナの感染の拡大に応じて、「5人以上の集まり禁止」という対策を行い規制をしています。
この、「5人以上の集まり禁止」の規制は、「私的な目的で5人以上の人が事前に合意・約束された日程によって、同一の時間帯に、同一の場所に集まること」を禁止するものです。
この規制の中、違反して5人以上の集まりを行った人が摘発されるニュースも出ています。「5人以上の集まりの禁止」ではどのような場合が禁止されるのか、例外的に許可される場合はあるのかなどについて説明し、最新のニュースについても解説していきたいと思います。
例外的に許可される場合はあるのか?
「5人以上の集まりの禁止」の概要

規制の内容をもう一度見てみると、「私的な目的で5人以上の人が事前に合意・約束された日程によって、同一の時間帯に、同一の場所に集まること」を禁止するとされています。
つまり、簡単に説明してみると、
×私的 〇公的
×5人以上 〇4人以下
×事前の合意・約束 〇偶然に出会う
×同一の時間帯・場所
ということになります。
事前に合意・約束して集まった場合はダメで、たまたま偶然その場に居合わせた場合はオッケーとするというのには、それをどのように判断するのか、悪用する人がいるのではないか、といった批判もありますが、基本的には5人以上は禁止されていると考えておけばよいと思います。
詳しい内容については、以下で見ていきます。
適用される範囲
この規制の施行当初は首都圏のみに適用して行われていましたが、現在は韓国全国が適用される範囲となっています。もちろん、韓国に居住する外国人も、短期で滞在する外国人にも適用されます。
実施される期間
昨年の12月23日から規制が行われ、年末年始の集まりによるコロナの感染拡大を防ぐために当初は1月3日までとされていましたが、さらに1月17日までに延長、そして現在は1月31日まで再度延長している状況です。
禁止される項目
禁止される集まりの内容としては、「親睦を深めることを目的とする、全ての集まり・イベント」と規程されています。
例えば、同窓会、同好会、ピクニック、職場での飲み会(ランチも含む)、引っ越し祝いの集まり、新年会、ドルチャンチ(子どもの1歳のお祝いの集まり)、還暦・古希のお祝いの集まり、オフ会などが挙げられています。
室内、室外に関わらず同一の場所に集まることが禁止されています。また、同一の場所に集まる5人の範囲には、公共施設などの従業員などは営業活動を行う者と見なされ、私的な集まりにはならないので含まれません。
例外的に許可される場合
5人以上の集まりであっても、例外的に認められる場合もあります。細かく規定されているため、一つ一つチェックしておく必要があります。
日常的な家庭生活を行うために家族が集まる場合
「日常的な家庭生活」とは、居住空間が同じ家族などのことを言います。つまり、同じ家に住む5人以上の家族は、同じ時間に同じ場所で集まっていても違反にはならないということです。
その他にも、例えば単身赴任のように家族の一部が仕事または学業のために地方で生活をしていて、週末や休暇の際に一緒に生活をする場合も例外の場合に含まれます。
また、子どもや老人、障害者などの世話・介護が必要な場合や、臨終の可能性があって家族等が集まる場合も、5人以上が集まっていても例外として認められます。
ですが、普段同じ家に一緒に住んでいない親戚などとの私的な食事や、法事などで5人以上が集まることは禁止されているので注意が必要です。
結婚式、葬式
結婚式や葬式の場合は、「5人以上の集まり禁止」の規定には適用されず、別途のコロナ対策である「社会的距離の確保」の「段階別の集まり・行事の基準」に従い、首都圏は49人、非首都圏は99人までが参加することが可能な状況です。
一部の行事や試験など
説明会や公聴会などの一部の行事や、教室などの分離された空間で行われる試験は、結婚式や葬式の場合と同じく、「5人以上の集まり禁止」の規定には適用されず、「社会的距離の確保」の「段階別の集まり・行事の基準」に従い、首都圏は49人、非首都圏は99人までが集まることが可能です。
適用される具体的な行事や試験の一例は、説明会、公聴会、学術大会、記念式、合宿、集会、フェスティバル、コンサート、サイン会、講演、訓練、大会、ワークショップ、採用試験、資格試験などです。
展示会や博覧会、国際会議などの大規模なものは、施設の面積により人数制限が行われます。
公務及び企業の経営活動
これは、「法令等に根拠する活動であり、一定の人数以上が対面で集まらなければならず、期限が定められており取消し・延期が不可能な場合などの公的機関の公的業務の遂行及び企業の経営活動に欠かせない集まり・行事」と規定されています。
つまり、私的な集まりではなく業務上の集まりであることが条件だということです。そのため、会社の面接や会議などで5人以上が集まることは認められますが、会議の後に私的な食事を行うことは禁止されています。
その他にも、企業の定期株主総会や国会の会議、テレビ局の番組制作や配信なども例外とされています。
また、それ以外の場合を見てみても、
〇塾や家庭教師 ×勉強会
〇ミュージカルなどの公演の開催のためのもの ×単なる趣味のための練習で集まること
〇引っ越し(業者は業務であるため5人に含まれない)
〇マンションの入居会議や住宅組合などの定期集会(法的な活動であるため)
というように、私的な集まりであるか、仕事などの業務上の集まりであるかによって、禁止される集まりであるかどうかが判断されます。
違反した場合
「5人以上の集まり禁止」の規定に違反した場合は、感染病に関する法律(「感染病の予防及び管理に関する法律」第49条第1項第2の4号)に基づき、10万ウォン以下の過料が科せられる可能性があります。
この過料は重複して科される場合もあり、この行政命令違反によって感染者の発生が確認された場合は、治療などの費用も請求される可能性があります。
最近、この規定に違反した事例についてのニュースがあったので、以下で詳しく見ていきます。
最近のニュース
最近では、「5人以上の集まり禁止」の規定に違反している人が摘発されたというニュースも出てきました。
あるタレントがカフェで業務上の集まりを5人以上で行ったというニュースと、17人で家族の集まりを行って、そのうち11人がコロナに感染したというニュースについて、詳しく解説しながら見ていきます。
業務上の集まりをカフェで行ったタレント
テレビ番組の司会などで有名なタレントのキム・オジュン氏が、「5人以上の集まり禁止」を違反したという物議を醸しています。

キム・オジュン氏は、ソウルのとあるスターバックスの店内で、7人以上が集まって会議を行っていたことが確認されました。
キム氏は、「番組制作のための業務上の集まり」であったと弁解していますが、どこまでを「業務上の集まり」と見なして取り扱うかについて、世論の意見が分かれています。
また、カフェでの5人以上の集まりも禁止されている状況ですが、「業務上の集まり」と「カフェでの5人以上の集まり禁止」が衝突した場合、どちらが優先されるのかについても議論となっています。
業務上の集まり VS カフェでの集まり禁止
本件では、「業務上の5人以上の集まり許容」と「カフェでの5人以上の禁止」の規定が衝突した場合、どちらが優先されるのかということが問題となっています。
これについて、韓国の「中央事故収拾本部」が発表しているQ&A指針を見てみると、5人以上の集まりが例外的に許可される業務上の集まりの規定には、「会社での」集まりであるということが前提とされています。
つまり、業務上の会議などの集まりは企業の経営活動として禁止規定からは除外されますが、会議後の食事は禁止されているように、会議と飲食を明確に区分しています。
ソウル市の貿易管理チームのインタビューによると、「業務中の会議であってもなるべく短時間で行い、会議中の飲食も行わないように勧告している。特に、飲食店・カフェでの基準を守らなければなりません。やむを得ずコーヒーを飲まなければならなかったのであれば、テイクアウトをするという方法もあったのではないか」と説明しています。
また、カフェなどでの防疫規則として、飲食する時以外はマスクをするという規定もありますが、キム氏は当時飲食をしていなかったにもかかわらず、マスクを顎まで下ろした状態で会話をしていたことについても、物議を醸しています。
キム氏とスターバックス、処罰されるのはどちらか
キム氏が5人以上で集まっていたカフェである、スターバックス側にも、5人以上の集まりを禁止したり利用者にマスクの着用をさせ、防疫指針の規則を遵守する義務があります。
そのため、今回の違反によって、感染病に関する法律施行令 第33条に従い、1次違反の場合は150万ウォン、2次違反以降は300万ウォン以下の過料を科される可能性があります。つまり、このような規則違反の事例を報告しなかったり、規則を遵守するよう案内しなかった場合は、加重処罰が行われます。
さらに、スターバックスは全ての店舗を直営でのみ運営しているため、加盟店単位ではなく、本社が直接過料を負担しなければならない可能性もあります。
キム氏側は、感染病に関する法律 第83条4項1号により、10万ウォンの過料を科されるとみられます。ですが、マスクの未着用と5人以上の集まり禁止の2つの項目を違反したことに対して、過料が2回適用されるのかどうかについてははっきりしていないようです。このようなケースが初めてであるため、検討後処罰がなされるとのことです。
17人の家族の集まりで、11人がコロナ感染
韓国の順天市という地方で、17人が同時に家族の集まりを行い、このうち11人がコロナに感染するという事件が発生しました。
きっかけは、始興市という地方で感染者が発生したことから、この感染者の動向を調査してみたところ、順天市を訪問して家族同士の集まりをしていたことが明らかになりました。
この家族同士の集まりは、順天市に住む母親の誕生日を祝うために、始興市、光陽市、巨済市、富川市のそれぞれから一家が訪問したことにより、5つの都市から総勢17人が集まった結果、5つの都市で計11人もの感染者を出すことになってしまいました。
きっかけとなった始興市での感染は、コールセンター勤務者による集団感染が原因でしたが、その勤務者が他の地域で大人数での集まりに参加することによって、参加者たちが別の地域にコロナウイルスを持ち帰って拡散してしまうという事態が起こってしまいました。
自治体は、「5人以上の集まり禁止」の規定を違反したこの一家に対して、過料を科すことを決定したとのことです。
まとめ
違反すると、個人には10万ウォン以下の過料が科される可能性がある。
昨年末に「5人以上の集まり禁止」を実施してから、韓国のコロナ感染者数は落ち着いてきていると言われています。
その一方で、規則に違反し、中には感染を拡大させてしまった事例もありました。
現時点では、「5人以上の集まり禁止」は1月31日まで行われる予定となっていますが、韓国では2月中旬に旧正月の連休があり、日本のお正月のように家族や親戚が集まる行事であるため、落ち着いている感染が再度拡散しないか不安に思う声も大きいです。
「自分たちは大丈夫」「ちょっとだけなら大丈夫」という気持ちが、感染に繋がり、コロナの状況が長引く原因になっているように感じます。政府が打ち出しているコロナ対策である、マスクの着用義務や様々な防疫のための規則などを最低限でも一人一人がきちんと守れば、感染拡大は確実に抑えられると実感してきていると思うので、長丁場で辛い時期ではありますが、今一度気を引き締めてそれぞれが行動してほしいと思う限りです。
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