2021年から変わる、韓国の法制度

2021年から変わる、韓国の法制度

日本と比べて法律が改正されるスピードがものすごく速いといわれている韓国ですが、今年から変わる法制度もたくさんあります。

今回は、2021年から変わる韓国の法制度について、数ある中の一部を紹介する形にはなりますが、説明していきます。

特に、韓国在住の方にはとっておきの情報もたくさんあるので、要チェックです!

今年から改正される韓国の法制度にはどのようなものがあるのか?
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最低賃金

日本の最低賃金は都道府県別に定められていますが、韓国では全国一律となっています。そのため、地方の田舎もソウルの大都会も最低の時給は同じ値段です。

最低賃金は毎年改定が検討され、2021年は時給8,720ウォンと定められました。

2020年度と比較すると1.5%、130ウォンが引き上げられています。ここ数年は物価の上昇に伴い、最低賃金も急激に引き上げられる傾向にあります。わずか4年前の2017年の最低賃金は時給6,470ウォンでしたし、私(管理人)が韓国にやってきた2014年はなんと5,210ウォンだったのです…!

今年度の最低賃金を月給に換算すると、週40時間の労働者の場合の基準で1,822,480ウォンとなり、約27,170ウォン引き上げられました。

最低賃金の変動によって、事業主は変更した賃金に合った労働契約書を作成し直さなければなりません。これを怠った場合は、韓国の勤労基準法などによって、500万ウォン以下の罰金または過料が科されます。

また、最低賃金の引き上げによって、四大保険や残業手当、夜間手当も共に引き上げられます。

例えば、国民年金は会社が4.5%、労働者が4.5%ずつ負担し、時間当たり130ウォン×4.5%が増加するため、月当たりでは1,411ウォン、1年で約16,929ウォンが引き上げられます。

中小企業に関する制度の改正

昨年はコロナの影響もあり、大打撃を受けた中小企業も多かったと思われます。2021年は中小企業に関する制度も大きく変わりました。

その中でも、特にHR(人事、労務面)に関するものについて、いくつか紹介します。

就職安定資金の支援

就職安定資金(일자리안정자금)とは、最低賃金の急激な引上げによる中小企業などの経営負担を緩和するために、2018年から行われている支援事業です。

就職安定資金は、30人未満の職員を雇用している企業の事業主に支給されます。課税所得が3億ウォンを超えていたり、賃金を滞納している場合などについては支援はされません。

2021年の就職安定資金は、最低賃金の120%水準である月給219万ウォン未満の労働者が対象であり、支援金の申請以前に1ヶ月以上雇用しており、最低賃金の遵守や雇用保険の加入などの条件を満たしている場合、労働者1人当たり月5万ウォンが事業主に支給されます。5人未満の事業主の場合は、月7万ウォンが支給されます。

ただし、事業主の配偶者や直系の家族を職員として雇用している場合は特殊関係人としてみなされ、支援は除外されます。

法定労働時間の短縮、公休日を有給休日として適用

中小企業も公休日、つまり祝日(日曜日は除外)も有給休日(=法定休日)として保障されることになります。今年は年間15日以上の祝日が予定されています。

これまでは、民間の中小企業などでは、祝日に労働を行っても有給休日としてみなされず、休日手当が支払われない場合がありました。

韓国では、2018年から労働環境の改善のために、週当たりの法定労働時間を最大68時間から52時間に短縮する勤労基準法の改正を行い、施行しています。2020年1月から、企業の規模に応じて段階的に法定有給休日を適用していますが、2021年からは、30人以上の民間企業までに拡大されます。

そのため、今年からは30人~299人の民間企業においても、祝日を有給休日として保障されなければなりません。

祝日に勤務をした場合は、労働者の代表との書面による合意によって、他の勤務日を休日として代替することもできます。休日の労働手当は通常賃金の150%になりますが、これを遵守しない場合は、最大2年の懲役または2000万ウォン以下の罰金刑に処される可能性があります。

また、2022年には5~29人の企業の労働者にも適用される予定です。

出産・育児期の雇用安定奨励金

育児休暇や育児期における労働時間の短縮を認めている中小企業の事業主に対して、「出産・育児期の雇用安定奨励金」が政府から支給されます。

これまでも、事業主が初めて育児休暇や労働時間の短縮を認めた場合は、月30万ウォンの支援金に加え、月10万ウォンのインセンティブを与えていました。今年からは、育児休暇と労働時間の短縮のそれぞれ3人目の制度の使用まで、月10万ウォンがさらに追加で支給されることになりました。

労働時間の短縮の請求

30人以上~300人未満の企業においても、今年から労働時間の短縮の請求権制度が施行されます。

労働者が、家族の介護や本人の健康、55歳以上の労働者の定年退職への準備、学業などのために、事業主に対して労働時間の短縮を申請する場合は、事業主はこれを認めなければなりません。

また、30人未満の事業者に対しては、2022年から適用される予定です。

重大災害企業処罰法

重大な人命被害をもたらす産業災害が発生した場合に、事業主に対する刑事処罰を強化するという内容の、「重大災害企業処罰法」の法案が今年の1月8日に国会を通過しました。

事故または重大災害によって雇用者が死亡した場合、事業主または経営責任者に1年以上の懲役または10億ウォン以下の罰金を、法人に対しても50億ウォン以下の罰金を科し、さらに事業主と法人が損害額の5倍までを賠償することになりました。さらに、事業主が安全対策を怠っている状況で死亡者が発生した場合は、懲役刑と罰金が同時に科される可能性もあります。

また、雇用者が怪我をしたり疾病にかかった場合は、該当法人は7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金が科されます。

下請けの労働者等に重大災害が発生した場合も、元請けに実質的な運営の責任があれば、処罰対象となります。

ただし、企業が該当業務について十分な注意・監督を行っていた場合は、罰金は免れることになります。また、常時労働者が5人未満の事業場は処罰対象から除外されます。

この重大災害企業処罰法は、現在は公布期間であるため、実際の適用は50人以上の企業に対して2022年から施行されることになります。該当する企業は今年のうちに対策などの準備をしておく必要があります。50人未満の企業については、2024年から施行される予定です。

保育・教育制度

女性の社会進出や共働き家庭の支援のために、保育や教育に関するサービスの年々活発になってきています。

その中でも今年から変わる制度について、いくつか説明します。

保育サービスの支援拡大

女性家族部ホームページより

保育サービス(아이돌봄서비스)の利用料金に関して、政府の支援比率が高くなります。サービスの利用体系や所得に応じたそれぞれの利用料金における政府の負担が5%ずつ上方修正されます。

また、年720時間であった限度が、今年からは年840時間まで政府の補助を受けることができるようになりました。

保育士の増加支援

保育士の中でも特に、延長保育士という、午後4時以降の保育のための保育士などの人件費(101万1000ウォン)や使用者負担金(30%)を政府が支援します。

これによって従前より保育士が6000人拡大配置される見込みとなっています。

また、職場の保育園を運営する事業主を対象とした、人件費や運営費の支援の要件も緩和されています。

放課後学童保育サービスの拡大

両親が共働きなどの理由で、放課後に子どもの面倒を見ることが難しい場合に利用できる、放課後学童保育(방과후 돌봄)サービスがあります。

対象は小学生の児童であり、所得水準などの条件はありません。常時及び一時的なサービスを受けることができ、間食などの提供、多様なプログラムの運営も行われています。

この放課後学童保育サービスは、全国の自治体が運営しており、現在は167ヶ所のセンターが設置されていますが、2021年には450ヶ所が追加で設置される予定です。

高等学校の無償教育

韓国の高校の無償教育については、昨年までは2~3年生が対象であったのが、今年から1~3年生となり、全面無償教育になりました。

支援される項目は、入学金、授業料、学校運営支援費、教科書代で、高校生の1人当たりの年間約160万ウォンの学費の負担が減る見込みです。

ただし、入学金や授業料を学校にて定める私立高校は除外されます。

クレジットカード使用額の所得控除

税金に関連して改正された制度の中でも、最も身近なものといえば、クレジットカードの使用額に応じて追加の所得控除が受けられるようになったことだと思います。

コロナによって低下した消費を促すために、昨年度より今年クレジットカードをたくさん使った場合、所得控除を最大100万ウォンまで受けることができます。

これまでは、クレジットカードの所得控除は給与の25%を超えるカードの使用金額に対して、15%の控除率を適用していました。今年は、昨年に比べて5~10%以上増加した使用額に対して、クレジットカードの所得控除率が10%追加されます。

例えば、年収5000万ウォンの人が、2020年にクレジットカードを1500万ウォン分使いましたが、2021年には1800万ウォン分使ったとします。カードの使用金額は10%以上増加しています。

既存の控除体系であれば、2020年の場合は37万5000ウォンが控除され、2021年の場合は82万5000ウォンが控除されることになります。

ここからさらに、追加の控除率を適用すると、2021年度は追加で15万ウォン、合計97万5000ウォンが控除されることになります。そのため、2020年の場合は使用した金額の2.5%が控除されていたのに対して、2021年は使用した金額の約5.4%が控除されることになるので、使えば使うほどお得(?)ということになります!

モバイル電子証明書の発行拡大

金融機関での取引や、携帯料金の割引、就職活動で必要な証明書などを紙で発行せずに、スマートフォンでモバイル電子証明書として発行して提出ができるようになりました。

これまでは、住民票など13種類の書類が発行可能でしたが、今年からは所得証明や家族関係証明書など100種類に拡大され、非対面での行政サービスの活性化及び紙の書類の縮小を進めています。

電子旅行許可(ETA)制度

ビザなしで韓国に入国する外国人に対して、今年の6月から電子旅行許可(ETA)制度が施行されます。

ノービザで韓国への入国が可能な国の国民が、観光などの目的で韓国を訪問する場合に、個人情報や旅行の情報を事前にオンラインで入力して、旅行許可を得るという制度です。

出発国で航空機に搭乗する72時間前までに、ホームページまたはアプリを通して申請しなければなりません。ETAの手数料は1万ウォンです。

ETAの旅行許可を得た場合にのみ、韓国行きの搭乗券が発行されます。一度許可を得ると、2年間は再度入国する際の申請手数料が免除されます。また、ETAの申請によって入国時の手続きに関する書類の記入が省略される予定で、外国人の入国審査がよりスムーズになる見込みです。

ETAの制度は、アメリカ合衆国への入国の際のESTA制度に似ています。日本は現在コロナの影響によってノービザでの入国の取り扱いが一時停止されている状況ですが、これが改善されて旅行ができるようになれば、今後韓国へ旅行する際はETAを申請してから日本を出国する必要があるため、注意が必要です。

再包装の禁止

コロナの影響もあり、最近では非対面での対応が増えたり、自宅で過ごすことが多くなって出前や宅配が増えたことにより、使い捨て用品やビニール、段ボール箱などのゴミがかなり増えたそうです。

環境部ホームページより

韓国環境部によると、昨年の上半期だけでも、包装廃棄物である紙類は29.3%、プラスティックは15.6%、ビニールは11.1%もゴミの量が増えています。

このような不必要な資源の浪費とゴミの発生量を減らすために、「製品の包装材質・包装方法に関する基準等に関する規則」が改正されました。

包装されて生産された製品を再包装して製造、輸入、販売してはいけないという、「再包装の禁止」の規定が盛り込まれることになりました。

環境部ホームページより

例えば、韓国では1+1のような割引セールが頻繁に行われますが、そのような元は別々に売られていた商品と商品を、販売の過程で再度包装することが禁止されます。

また、これも韓国でよくある「おまけ商品」を提供するために再度包装こともできなくなります。

ですが、1+1のセールやおまけ自体が禁止されるものではないので、ご安心ください!紙の帯などで表示する場合や、3つ以上の商品を一緒に包装する場合は禁止事項に含まれません。

今年の1月から改正法が施行されていますが、3ヶ月の猶予期間があります。また、中小企業などは7月から施行される予定です。

安全速度 5030

都心部の主要道路の制限速度を基本的に50km/hに、住宅街の道路などの制限速度を30km/hとする、「安全速度 5030」という政策が施行されます。

これまではスクールゾーンなどを除いて基本的には60km/hとされていた制限速度が下方調整されることになりました。道路交通法の改正は2019年に行われていましたが、2年間の猶予期間を経て、今年の4月17日から本格化されます。

例外的に60km/hの制限速度が認められる道路もありますが、基本的には50km/hまたは30km/hの制限速度を遵守しなければいけないため、特に車の運転をする人は注意が必要です。

透明ペットボトルの分別収集

これまでは、ペットボトルやプラスチックはまとめてゴミの収集が行われていましたが、リサイクル市場の質を高めるために、透明のペットボトルのみ別途の分別収集を行うことになりました。

この分別収集は段階的に施行される予定で、2020年の12月25日からすでに集合住宅(日本でいうマンションなど)では試験的に行われています。今年の6月から本格的に施行され、それ以外の共同住宅(日本でいうアパートなど)や単独住宅(一戸建て)は今年の12月25日から施行される予定です。

共同住宅では、別途の透明ペットボトル専用の分別収集ボックスなどを設置して収集し、単独住宅には専用のゴミ袋を配布して収集します。これに違反した場合は、マンションであれば管理事務所に対して30万ウォン以下の過料が科せられる場合もあるため、注意してゴミ出しをする必要があります。





まとめ

特に、コロナの影響によって変化した社会の状況に応じた法制度の改正が行われている

ここで紹介した今年から変わる韓国の法制度はほんの一部ですが、昨年からのコロナの影響でいろいろな社会の状況が変わったことに応じて、改正された制度も多いのではないかと感じます。

韓国では法律や様々な制度が変わっていくスピードが本当に早いので、情報を早く正確にキャッチして、制度を理解し適用・適応していくことが大切です。それによって、いろいろな制度の恩恵を受けられる機会も増えていくと思います。

ですが、このような制度の変更の情報を随時チェックし理解するのはなかなか難しいことです。これから今後このサイトで改正に関する情報を発信し、解説していきたいと思うので、ぜひチェックしてみてください。

また、今年から変わる韓国の法制度に関しては、韓国の政府機関である企画財政部が「2021年からこのように変わります」という冊子に430ページ以上にわたってまとめています。

本当にたくさんの制度が変わっているということがわかりますが、分野別や関連省庁・部署別、変更時期別に分けられていて見やすくなっているので、興味のある方は企画財政部のホームページから一度見てみてください。

*本サイトは、韓国の法律等に関する一般的な情報を提供する目的で運営しています。投稿の内容は執筆当時の情報であり、法改正などにより変更する可能性があります。また、当サイトの法的見解や助言を示すものではない点にご留意ください。

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