日本と違う、韓国の法制度 ③ロースクールと法学部

日本と違う、韓国の法制度 ③ロースクールと法学部

今回は、韓国の大学の法学部ロースクール(法科大学院)について詳しく説明します。

ロースクールの制度は日本では2004年、韓国では2009年から導入されました。韓国でロースクールの制度が導入された時に日本の制度や運営状況を参考にしたと言われていますが、詳しく制度を見てみると違っているところがたくさんあります。

また、ロースクールの導入にあたって、韓国では法学部が廃止されるという動きもありましたが、一体なぜでしょうか?その理由についても見ていきます。

日韓のロースクールの制度の違いは?
韓国ではなぜ法学部が廃止されたのか?
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日本の制度

韓国の制度との比較をする前に、まずは日本の制度についておさらいしておきます。

日本の司法試験

日本で弁護士や検察官、裁判官になるには3つの方法があります。

予備試験に合格→司法試験に合格
②ロースクール2年コース→司法試験に合格
③ロースクール3年コース→司法試験に合格

予備試験は学歴などの受験資格がなく、高卒でも受けることができる試験となっています。ロースクールができるまではこの試験一本のみが法曹への道でした。

日本のロースクール

ロースクールは2年間と3年間の2つのコースに分かれています。

2年コースはいわゆる既修者コースと呼ばれていて、法学部出身者など、入学前に法律の学習をある程度行っている人のためのコースです。入試においても、法律科目の試験があります。

3年コースはいわゆる未修者コースと呼ばれていて、法学部以外の学部出身者など、法律の学習経験がない人でも入学ができるコースです。入試では、主に志望理由書や小論文、面接などが行われ、法律に関する知識の有無は問われません。

ロースクールの課程を修了すると、司法試験の受験資格が与えられます(5年間)。

そして、大学によっては法学部内にロースクール入学のためのコースが設置されている所もあり、条件を満たすと学部を1年間早期卒業してロースクールに入学することができ、通常より1年早く実務に就くことができる制度もあります。

司法試験合格後

司法試験に合格すると、1年間司法修習があります(10ヶ月実務修習+2ヵ月研修+司法修習生考試)。この実務実習を終え、最後の試験(通称「二回試験」と呼ばれたりします)に合格して初めて、晴れて弁護士としての実務を行うことができます。検察官や裁判官になるには、さらに採用試験があります。

韓国の制度

続いて、韓国の制度について見ていきます。基本的には日本と同じような制度ですが、少し違っているところもあります。

韓国の司法試験

韓国では、ロースクール制度がなかった時代の従来の司法試験制度は2017年を最後に廃止されました。

つまり、現在は韓国で弁護士や検察官、裁判官になるためには、ロースクールに入学して課程を修了後、司法試験(弁護士試験)に合格する方法1種類のみです。

韓国のロースクール

韓国では日本より5年遅く、2009年にロースクール(法学専門大学院)が導入されました。

韓国のロースクールでは日本のようにコースが分かれておらず、既修/未修にかかわらず3年間の課程になっています。

ロースクールの課程を修了すると、日本と同様に司法試験(弁護士試験)の受験資格が与えられます(5年間)。

司法試験合格後

韓国で司法試験に合格すると、6ヶ月間の司法修習(実務修習)が行われます。日本と比べて修習期間は短いですが、韓国ではロースクールで3年間という統一的な教育が行われているため、その分修習期間が短いのです。

また、韓国の司法修習(実務修習)は研修機関で行われるのではなく、認定を受けた法律事務所など、それぞれの合格者が修習場所を選んで行います。そのため、実質的にはいわゆるインターンのような形になっており、司法試験の合格後、6ヶ月間にもわたってほとんど無給で業務をしなければいけないという面で、問題にもなっています。

韓国の司法修習については、制度の改正も議論されているため、今後も注目が必要です。

ロースクールがある大学の法学部廃止

日本と韓国におけるロースクール制度の一番大きな違いは、韓国ではロースクールを導入した大学は法学部を廃止したというところです。

そのため、現在韓国でロースクールが設置されている大学、つまり有名大学のほとんどは法学部がありません。

では、なぜ法学部を廃止したのか?という疑問が生じますが、それは韓国のロースクール制度の特徴に答えがあります。

韓国のロースクールは、既修/未修にかかわらず一律3年間の課程となっています。

つまり、どの学部からでもロースクールに進学できる道が開けているということです。また、このような制度にすることによって、様々な出身の専攻と経験を持った法律家の排出を見据えていると言われています。

法律は生活の中のあらゆる場面で関わりのあるものですが、ロースクールによって法曹人口が増えた中、細かい分野を専門的に扱う法律家が求められています。

実際に、最近ではIT分野などの理系の分野の知識を持った法律家が重宝されるという傾向があり、理系の学部出身でロースクールを卒業した弁護士も増えてきています。





まとめ

韓国では予備試験制度は廃止され、ロースクール一本になった。
ロースクール設置大学では法学部を廃止し、あらゆる分野の経験を持つ法律家を養成している。

日本と韓国では、予備試験制度が残されているかどうかが大きな違いであるといえます。予備試験制度がある日本では、高卒の人やロースクールに通えない人でも司法試験に挑戦する機会を得ることができます。

一方、予備試験制度を廃止した韓国では、ロースクールの3年間に一本化することによって体系的な制度が確立されていますが、ロースクールに入学しなければ司法試験の受験資格すら得られないということや、高額な授業料などの面で問題視されている部分もあります。

両国ともロースクールの制度を導入してから、現在では法曹人口の飽和状態なども危惧されていますが、この制度の違いが今後の法曹界にどのような影響をもたらすのか、また、今後の制度がどのように変わっていくのかも注目したいと思います。

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