韓国の永住権について―取得するメリット・デメリットは?

韓国の永住権について―取得するメリット・デメリットは?

今回は、韓国の永住権について解説します。

永住権とは、名前の通り永住できる権利のことで、外国人が滞在期間を制限されることなく永住できる資格です。永住権を取得したからといって、国籍が変わるわけではありません。ただし、韓国の場合、現在は10年という制限期間があるため、実際の意味としては永住ではなく、在留期間が10年間のビザということになります。

海外に長く住んでいる人であれば、永住権の取得を考慮する人も多いかと思います。ですが、実際に取得してみようとすると手続きが複雑で難しいのが永住権です。

そんな韓国の永住権の取得方法について詳しく解説し、複雑で難しい手続きをしてまで永住権を取得するメリットがあるのか?デメリットもあるのか?についても見ていきたいと思います。

韓国の永住権を取得する方法は?
永住権を取得するメリット・デメリットは?
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韓国の永住権を取得できる対象者

韓国の永住権はF-5ビザとも言われていますが、F-5ビザはさらに、F-5-1~F-5-27にまで細かく分類されています。

これだけでも韓国の永住権の制度が複雑であることがよくわかると思いますが、今回はその中でも、本サイトを利用していただいてる皆様に一番関わりがあるであろう、3つの種類に絞って解説したいと思います。

5年以上韓国に滞在している人(F-5-1)

F-5-1ビザの対象者は、「一般永住者」とも呼ばれています。

一般永住者は、5年以上韓国に滞在している人のうち、韓国で就職して働いている人など、主に就業関連のビザを所持し経済活動を行っている人が対象になります。

D-7(駐在)、D-8(企業投資)~E-7(特定活動)までのビザ及びF-2(居住)ビザで5年以上滞在している人が当てはまります。

一般永住者で特に重視される条件は、売上高や学歴などです。

例えば、D-8(企業投資)ビザ所持者の場合は、申請日が属する年度の前2年間の年平均売上高が10億ウォン以上であることや、E-7(特定活動)ビザ所持者の場合は学士号以上の学位を所持していることなど、個別の条件も定められています。

韓国人の配偶者(F-5-2)

いわゆる配偶者ビザ(F-6)を所持している人が該当するもので、韓国人の配偶者として韓国に2年以上滞在している人などが対象となります。

他の対象者に比べ、2年以上と滞在期間の条件が短く、さらに所得の基準も低くなっていて、比較的取得しやすい永住権です。

また、子どもがいる場合などは、さらに所得や社会統合プログラム(後ほど説明します)の条件が免除・緩和されます。

3年以上韓国に滞在している人(F-5-16)

F-5-16ビザの対象者は一般永住者(F-5-1)と対照的に、「点数制永住者」とも呼ばれています。

F-2(居住)ビザのうち、点数制による条件でビザを取得して3年以上韓国に滞在している人が対象者となるため、点数制永住者と言われています。

F-2(居住)ビザの点数制は、年齢・学歴・所得・納税実績・韓国留学経験・韓国語能力などの項目において、それぞれ該当する条件に定められた点数の合計が120点満点中80点以上の場合にビザが取得できることとなっています。

この他にも、永住権資格を持つ人の子どもや、高額投資者(50万ドル+韓国人を5人以上雇用)、特定分野の博士課程取得者で韓国企業で雇用されている人などが、永住権を取得することができる対象者となります。

*韓国ビザの全種類についての解説は、以下の記事も参考にしてみてください。

韓国の永住権取得の条件

韓国の永住権を取得するにあたって、重要な条件が2つあります。

1つは生計維持条件、もう1つは基本素養条件です。

生計維持は所得に関する条件のことで、基本素養は韓国社会の構成員として適応するために必要な、韓国語能力韓国文化に対する理解などが問われるものです。

以下でそれぞれを詳しく見ていきます。

生計維持

生計維持条件では所得に関する要件が問われますが、例えば、一般永住者や点数制永住者の場合は、年間所得が前年度の韓国の1人当たりのGNI(国民総所得)の2倍以上であることが求められています。

つまり、平均的な韓国人よりも所得が多い人=能力の高い人材であることが求められているということです。

韓国人配偶者である場合は、世帯当たりの年間所得が前年度の韓国の1人当たりのGNI(国民総所得)以上であればよく、子どもがいる場合などは20%の免除もされるため、比較的条件が緩和されています。

参考までに、2018年度の韓国の1人当たりのGNI(国民総所得)は、3,449万ウォン(約330万円)です。

基本素養

基本素養条件では、韓国社会の一構成員として必要最低限の韓国語能力や韓国文化への知識と理解が求められていますが、これは後程説明する「社会統合プログラム」という教育制度によって必要な基本素養条件を満たすことができるようになっています。

社会統合プログラムは、基本素養に関する教育を段階別に行い、最高段階である5段階の履修及び総合評価(修了テスト)での基準点以上の合格で、基本素養条件が満たされ、永住権が取得できるようになっています。

社会統合プログラム

基本素養条件である、「社会統合プログラム」についてより詳しく説明します。

社会統合プログラムとは

社会統合プログラムは、KIIP(Korea Immigration & integration program)とも呼ばれています。先に説明した通り、韓国への移民者が韓国での生活において必要な韓国語の修得や、韓国文化への理解、韓国社会・経済に関する知識などの基本素養を体系的に教育することを目的としています。

そのため、永住権の取得を目指す人だけでなく、帰化申請を行う人や、ビザの申請においても加点される場合があるため、そのような人たちのための教育制度となっています。

教育課程と総合評価について

社会統合プログラムの教育課程は、段階別に分かれています。

社会統合プログラムパンフレットより

0~5段階までのレベルに分かれていて、事前の評価テストの結果によってレベル分けがされます。

1~4段階は100時間、5段階も50時間以上の教育を受けるように定められているため、かなりしっかりとしたカリキュラムになっています。

5段階の履修後、総合評価というテストで60点以上を取得すれば、晴れて永住権の申請をする資格がもらえます。

事前の評価テストで85点以上を取得した場合は、教育課程を履修せずにすぐ総合評価のテストを受けることができます。

社会統合プログラムの詳しい内容や、申請・受講については上記の「社会統合情報網」というサイトで見ることができます。参考にしてみてください。

永住権を取得するメリット・デメリット

永住権を取得できる対象者や取得のための条件を見てみると、結構簡単ではないということがわかりました。

そこで、永住権を取得することによってどのようなメリットがあるのか、永住権を取得することによるデメリットはあるかどうか検証して、永住権を取得する必要があるのかについて考えてみます。

永住権のメリット

永住権のメリットは大きく3つあります。

10年に1度の更新制度

10年に1度更新すればいい、というのは最大のメリットです。韓国でビザを取得したことがある人ならきっと大共感だと思いますが、ビザを申請/更新するために出入国管理事務所(出入国外国人庁)に行くのってすごくストレスですよね。

面倒なビザの更新が10年に1回だけならとても楽になるので、永住権の取得を目指す人が多いのだと思います。

地方選挙に参加できる

永住権を取得してから3年が経過すると、韓国の地方選挙の選挙権が与えられます。長く韓国に居住する立場として、選挙に参加できるのは大きなメリットがあります。

ソウルでは来月に市長選挙がありますが、3年以上永住権を取得している人は投票をすることができます。

韓国入国時の入国審査で韓国人と同じレーンに並ぶことができる

韓国に入国する時の入国審査では、韓国人と外国人のレーンに分かれていますが、永住権を取得すると韓国人と同じレーンに並んで審査を受けることができます。

空港では場合によっては、韓国人のレーンがガラガラなのに外国人のレーンだけ混んでて入国するのに1時間以上かかったりすることもありますよね。

そういう時に空いているレーンを選んで審査を受けることができたり、日韓夫婦や日韓カップルの方は同じレーンに並べるので安心ですね。

永住権のデメリット

永住権を取得することによって発生するデメリットというのはありませんが、永住権を取得すること自体が複雑で難しいため、手続き面でのデメリットはあります。

10年に1度の更新制度

これは、最大のメリットでもあり、最大のデメリットでもあるのです。なぜなら、つい最近の2018年までは、一度取得すれば言葉通り永住できるものだったからです。

それが、10年に1度更新することになり、更新しなければならない面倒さが発生することになりました。

それでも数年に1回ずつ更新しなければならない面倒さに比べたら全然マシですね。

ビザ発行の手数料が高い

永住権申請の落とし穴は、発行のための手数料が23万ウォンと意外と高いということです。

さらに申請資格として必要な社会統合プログラムのテストを受けるには1回38,000ウォンの費用が発生します。

例えば、日韓夫婦で配偶者ビザ(F−6)を持っている方の更新期間は、基本的に子どもがいなければ2年、子どもがいれば3年で、更新手数料は3万ウォンです。

ということは、ずっと子どもがいなくて2年更新でも16年、3年更新を続けると24年間でやっと永住権の申請費用と同じくらいになるということなのです。

ただし、永住権の10年ごとの更新手数料も3万ウォンなので、20年、30年と本当に長いスパンで見た場合は、結果的に永住権がお得ということにはなります。

社会統合プログラムが面倒

上で見た通り、永住権の取得条件の1つである社会統合プログラムは、なかなか大変そうなものです。

下の段階から始めた場合は、合計で何百時間もの教育を受けなければならず、テストもあります。

特に仕事をしている人などは、社会統合プログラムを受講する時間を確保するのも大変かと思います。

2年に1度は韓国に入国しなければいけない

これは永住権のみにかかわらず、全てのビザを持つ人に当てはまりますが、2年間1度も韓国に入国しなかった場合はビザが無効となってしまいます。

例えば、主な生活の拠点は日本だけどたまには韓国にも行くので永住権を取っておこう、というつもりで永住権を取得していても、いろいろと忙しくて2年間韓国に行けなかったという場合は、せっかく大変な手続きをして取得した永住権がなくなってしまうのです。

現在コロナ禍で日韓の行き来を自由にすることが難しい中、2年間韓国に入国をしないまま永住権を喪失してしまったというケースも見られます。

永住権を取得するべきかどうか

簡単にまとめると、最初の手続きは面倒だけど、一度取得してしまうと後は楽なのが永住権です。

例えば、配偶者ビザ(F-6)を所持している人であれば、更新は2、3年に一度しなければいけませんが、その都度の更新手続きは簡単なので、それぞれの好みの方法を選べばいいと思います。

駐在ビザ(D-8、D-7など)や居住ビザ(F-2)を所持している人の場合は、数年に一度の更新手続きも大変なので、永住権を取得する方がメリットが大きいと思います。

それ以外にも、生活の基盤を韓国から日本に移すけど、場合によっては韓国に長期滞在する必要が生じるような人も、2年に1度は韓国に入国しなければならないという条件はありますが、その都度ビザ申請をするよりは永住権を取得しておく方が良いと思います。





まとめ

韓国の永住権を取得するには、所得の条件や基本素養の条件など、複雑で難しい手続きが必要。
複雑な手続きがデメリットであるが、一度取得すればその後は楽なのがメリットである。

筆者も永住権を申請する資格はあるのですが、手続きと社会統合プログラムの受講が面倒だと感じています。

現在は配偶者ビザ(F-6)を所持していて、更新の手続きは必要書類をネットから発行して持っていくだけですぐ終わります。そのため、今のビザの更新を続ける方がかなり楽だと思うので、当分は永住権を取得する必要はないと判断しています。

韓国の永住権取得を考えている人は、今回の記事をぜひ参考にして永住権を取得する必要があるかどうか検討してみてください。

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